GPSに関わるトレーナーが知っておくべきスパイク(速度跳ね上がり)現象

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     GPSって本当に便利なツールです。長らく練習時間や走行距離の概算、そして選手やコーチの主観的な判断のなかで構成されてきたであろうプログラム。GPSという客観的指標ができたことでこの部分の精度は各段に上がりました。

     

     私が所属する社会人ラグビーチームも、入団した2014年8月がGPS導入したタイミング。その年の6月からチームに合流していた私は、たまたまGPSの使い始めから関わる事ができたんですよね。

     

    疑問だったことがスッキリ
     そんなGPSに関して、疑問に思っていたことが先日解消されました。どんな疑問か、というと時折とんでもないトップスピードが記録されるのが、どうにも解せなかったんです。

     

     9.9とか10.8とか…これ、m/sですから1秒間で何m進んでいるか、ということ。これに60(秒)x60(分)をかけて1000(m→辧砲燃笋譴弌我々に馴染みのある時速何辧△箸いκ儡垢できます。

     

     10.8ということはおよそ時速39辧100mを9.98秒で走った桐生祥秀選手の最高速度が秒速11.67だったということを考えると、不可能ではありませんがラグビー内での数字と考えるとちょっと現実離れしています。

     

     GPS導入初期のころは、ふざけた選手がビブスごとビューっと投げて「これでトップスピード更新だ!」と中学生みたいなことをしていました(笑)。

     

     それとは別に起こるこういった現象はスパイク(速度の跳ね上がり)といわれるもの。

     

     時々発生する、このスパイク。 GPSのデータは場所や密集している人数によってどうしても誤差が生まれるんだそう。


     確かにスマホでのGPS機能を使う際にも、数十秒動かない状態が続いてから急に現在地の位置がビューっと動くことありますよね?こういったGPSが検出するデータと実際の位置とのズレが生じた際の「補正の動き」。

     

     この動きも移動時間として抽出してしまい、結果として秒速10m/sを越えるようなトップスピードが記録されてしまうそう。

     

     Catapult社のスポーツサイエンティストの方と話す機会があった際、たまたまこの話題となり「なるほどね〜」と合点がいったのでした。お客さんがたくさん入ってくれるうえ、周辺に高いビルが多くある秩父宮ラグビー場などはデータが上手く取れないことが多く、このスパイク現象も出やすいそうです。

     

     チーム全体のトップスピード平均が知りたいときなどは、面倒ですが各GPS内に不自然なスパイクが起きていないかをざっとチェック。明らかに不自然な速度の跳ね上がりが検出されたら、その部分をカットすると実際に近いデータがとれるでしょう。

     

    数値化の良さと危険性
     数値化って最も効果のある可視化ですよね。監督や技術コーチと話をする際にも大きな説得力を生んでくれます。その一方で「思考停止」に陥りやすいものでもあるんです。

     

     最近もGPSデータを基にしたEXCELのトレーニングの概算量を出すシートを使って、翌日のトレーニング量に関して議論していました。メインでGPSを担当してくれているS&Cコーチが、目の前のシートで出てきた数値を基にして提言してくれたのですが、どう考えても弘田の「感覚的」に違和感がある。

     

     5分ほどかけて計算をしてみると、EXCELシートに移した際にずれが生じていました。予想される総走行距離やHigh speed runningの距離の60%しか出せていなかったんです。

     

     目の前に数字が出てくると、さも正しそうに見えます。そして一度その先入観が生まれると、人間の脳は自分の経験や感覚よりも数字を優先しがち。

     

     人のそういった特性を常に意識して、その数字の持つ意味を自分の頭で考える癖をもつこと。そんな意識は常に必要。改めて感じた出来事でした。甘え過ぎずに最先端の機器を上手に活用していきたいですね。 

     

     

    それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

     


    商品として求められることの喜び

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        8月のトップリーグ開幕から緊張感の高い日々が続いていますが、そんな中、久々のリカバリー日の本日、朝から電車に揺られて関西国際空港に近い熊取へ移動しています。

       

       2ヵ月ぶりに訪れるタチリュウジム熊取店での研修に参加するためです。

       

       朝からみっちりと実践的な研修が行われる予定の本日。サポートスタッフとして、5人の社員から疑似測定評価プラスパーソナルトレーニングを受けるという、なかなかハードな一日となりそうです。

       

      全く空気感の違う仕事をいただけることの利点
       定期的に実施されているCertified Functional Strength Coach(CFSC)ジャパンのレベル1検定のお仕事もそうですが、タチリュウジムのコンテンツ統括ディレクターとしてのお仕事や、不定期なセミナー講師の依頼。

       

       今メインでやらせていただく社会人ラグビーチームのストレングス&コンディショニング担当というお仕事以外に、ポンッと全く空気感や求められるものが違う現場に赴くこと。

       

       頭の切り替えが必要なのですが、逆をいえば自然と気持ちを切り替えることができる部分もあり、新鮮なんですよね。現場ごとのスイッチの切り替えによって、また新たな発見があったり、最近自分のセンサーがどういった方面に高まっていて、どんな情報を必要としているに気づいたりもできるんです。

       

      生きた商品として求められる喜び
       体を休めるリカバリー日ももちろん大切ですが、単身赴任で来ている大阪での生活。ある種、修行期間ともいえるわけで求められる場所がある限り、片っ端から働かせてもらいたいなぁと感じています。

       

       「こなす」感覚は毛頭なく、関わることでオファー側の期待値を1%でも上回り、「ああ、弘田に依頼してい良かったなぁ。やはり機会があればまた仕事を依頼したい!」と思っていただけるにはどうしたらいいか。

       

       常にそのことを念頭において、現場での時間を過ごしています。

       

       生きた商品として、求めていただける喜びをかみしめて感謝を忘れずに。自分を育ててくれた施設であるタチリュウジムの役に立てるように、今日も一日全力で頭と体を使ってきます!

       

       

       

      それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

       


      ストロングマントレーニングの現場への応用を考える

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         前回、ストロングマントレーニングについてのブログを書きました。このストロングマントレーニング、短期的な生理学的応答に関しては研究結果がある程度集まっています。でも長期的な変化に関する研究はほとんどないんですよね。


         比較的新しい方法論であるからなんですが、この問題点に対して過去のレビューを集めたうえでの提言が2017年1・2月号のストレングス&コンディショニングジャーナルに載っていました。

         

         本日はその部分をシェアしたいと思います。

         

        筋肥大系アプローチとして有効
         最近の研究では、ストロングマントレーニングと伝統的なレジスタンストレーニングの比較が行われました。

         

         当然両トレーニングは、バイオメカニクス的に類似したエクササイズがお互いに対応する構成となっていたそうですが、ストロングマントレーニング実行群は、伝統的トレーニング実行群と比較して、筋量がわずかに正の変化を示したのです。

         

         筋が緊張状態にある時間が長いことは、筋肥大の向上に有効であることが明らかになっています。ストロングマントレーニングの形態が筋肥大に向いている点があるということなのでしょうね。

         

         この目的で行うには8〜12回で3〜4セット、1RMに対して70〜85%負荷の設定にすることが勧められています。コントロールできる限り、この設定の運動継続時間を30〜60秒に設定することがポイントとなるようです。そのうえで筋肥大が目的ですから、休息時間を60〜120秒はとることが必要。

         

         タイヤフリップやケトルベルを用いたスナッチなどは負荷設定がそれほど難しくはないのですが、スレッドプルやファーマーズウォークといった移動系の種目は実際の負荷設定が難しいので、RPE(主観的疲労度)の設定を10段階で8〜9程度にする、といった工夫が必要だと思います。

         

        総合的なコンディショニングエクササイズとして活用するならば
         この記事の中では、総合的なコンディショニングとして活用することも推奨。1セット1〜2分のサーキット形式で、合計時間が20〜30分となるように処方する。今回レビューを基にした論文の中では、こんな方法が勧められていました。

         

         5種類のエクササイズを各60秒、そして1週ごとに1分の休息を入れるといった方法。この形式のトレーニングは、弘田が実際にラグビーチームにて行っているスタイルに似ています。

         

         ただこのパターンは、代謝要素が大きくなるため、きちっとした回復時間を設ける必要があるのは頭に入れておかないといけないですね。弘田はついつい何周か連続でやっちゃいがちなんでね…。

         


        ストロングマントレーニングの限界
         ただしこのトレーニングにも限界はあります。213名を対象にした後ろ向きの傷害疫学調査によると、ストロングマントレーニングを実行中のケガの発生率は伝統的なトレーニングの1.9倍を示したそうです。

         

         特に受傷リスクは下背部に集中する可能性が高いため、リスク管理のための徹底した指導が必要。それでも多人数で行うことが多いストロングマンサーキット中に、怪我のリスクを避けることは困難。

         

         この辺りのリスクを知ったうえで活用していかなくてはいけないですよね。

         

         もう一つは適正な負荷設定。個人差だけでなく水平面のプッシュやプル動作のエクササイズでは、負荷と地面の間の摩擦などは計測が難しいですよね。タイヤフリップやバトルロープなどはアスリートによっては重すぎたり軽すぎたりで、適切に負荷をかけられなくなると効果は半減してしまいます。

         

         こういったデメリットを頭に入れつつ、賢いタイミングでストロングマントレーニングを活用していければ、と改めて思いました。

         

        それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

         


        ストロングマントレーニングって知っていますか?

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           競技によって伝統的なトレーニングや認知されているメソッドが違ったりすることに驚く。そんな経験は、複数のスポーツを担当しているS&Cコーチやトレーナーなら一度や二度はあるはずです。

           

           ラグビーに携わり始めて、その認知度に驚いたものの一つに「ストロングマントレーニング」があります。

           

           あまり馴染みがない方に今回はストロングマントレーニングに用いられる典型的な種目やその目的について紹介しようと思います。

           

          一般的なストロングマンエクササイズ
           スレッド(そり)やロープ、タイヤ、サンドバックやアクアバック、ケトルベルなどを用いて行うものが、ストロングマンエクササイズとしては有名です。

           

           スレッドプッシュといって重りを載せたスレッド(そり)を肘を伸ばし体を低く前傾した状態でプッシュするような種目は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

           

           位置関係を逆にし胸部にハーネスを装着し爆発的に足を動かしてダッシュするスレッドプルという種目も有名です。

           

           

           大きなタイヤを用いて、デッドリフトの要領で爆発的に垂直方向へタイヤを押し上げ、反転させるタイヤフリップという種目もあります。

           

           股関節伸展、膝関節伸展、そして足関節の底屈というトリプルアクションを促す複合的動作の種目として、弘田もとても好きなエクササイズの一つです。

           

           ひっかけた大きなロープをリズミカルに波打たせながら叩きつけるバトルロープと呼ばれる種目も体幹を予想以上に使いつつ、握力強化や前腕の肥大を促す全身トレーニングとして有効でしょう。

           

           

           弘田は、こういった種目を複数組み合わせて、1種目45秒〜60秒くらいのサーキット形式で用いることが多いです。一般的なジムでのストレングストレーニングから刺激を変化させる目的で取り入れるようにしています。

           

           プレシーズンに1週間に1回ほど、チーム練習が少なく短い「弱日」に、スパッとやるイメージです。

           

           心肺持久力要素も刺激しつつ、ストレングス部分の特に筋肥大も見込める。効果は実感しているストロングマントレーニングですが比較的新しい方法論で、科学的な研究結果がそれほど出ていない部分もあるんですよね。

           

           2017年に入ってからNSCAジャーナルにおいて、このストロングマンサーキットの生理学に関する論文が紹介されていました。

           

           弘田自身のアウトプットの意味も込めて、次回はこのトレーニングの現場の応用へのアイディアに関してご紹介したいと思います。

           

          それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

           


          スポーツを頑張る子供を持つ親御さんに気づいてほしいこと

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             今までこれほどの頻度で考えてきたことはなかったのですが、ここ1年ほどジュニア世代のスポーツ事情に関心がいくことが多いです。

             

             現金なものですが、やはり現実的に自分の子供たちが中学生と小学生という世代の真っただ中にいること。それでようやく「我が事」となってこの世代の現実や課題に真剣に向き合っているのかもしれません。

             

            根本にある問題点は日本に一貫した育成方針がないこと
             来年中学生となる弘田の二人目の娘。小2から続けていた女子サッカーを今後もやっていくかどうか自分なりに考えていたようですが、先日、クラブチームにてプレーをしていくことを決断。

             

             学校の部活ではなくクラブチームを選ぶことで、学校内での友達との関係や定期テストなどはより難しい部分も出てくるでしょう。

             

             興味のあるクラブチームの練習見学にいくつか行った彼女から相談を受けた際も、「こうした受け答えの一つ一つが彼女の決断に大きな影響を与えるぞ」とものすごく慎重に言葉を選んで、アドバイスをしたつもりです。

             

             日本のジュニアスポーツにおける文化は、率直にいうととても未熟だと感じています。そもそも国が一貫した方針を打ち出し、その方針に則った指導を行うべく指導者を育成していないのが一番の問題なんだと思います。

             

             そういった形ができていれば、指導者たちはジュニアから高校、大学へと年齢を重ねていく選手達をマクロ的な視点から育成。各時期における選手が育っていく段階や求められるものがある程度明確になっているから、指導者の個人差がそこまで大きくなくてブレも少ないわけです。

             

             ちょっとシステム化しすぎていると味気ない部分もあるかもしれませんが、指導者のブレのなさが保護者に安心感を与えていきますから、多くのアメリカの保護者は安心して子供を送り出せるのではないでしょうか。

             


            選手の思考は親に影響を受けるという当たり前
             そういった一貫した方針がないため、スポーツを一生懸命頑張っている子を持つ親は各々のベストと感じることを言い出すようになる傾向にあります。

             

             一昔前はそれでもその方向性はさほどバリエーションがなかったんですよね。その時代の頃のように「水を飲ませたらだめだ」、「昔のようにガンガン走らせるべきだ」といった時代錯誤なことをいう大人は減ったでしょう。

             

             しかしその代わりに、ネット上に氾濫している薄っぺらい上積みの情報だけを切り取ったり、自分自身が信じたい情報だけを取り入れて「うちのチームの指導者は良くない」といった批判を平気でする。

             

             多種多様なバリエーションにて、そういった姿勢でスポーツ現場に訪れる親が増えていると感じます。

             

             もちろん大多数の親は自分の子供可愛さあまってのこと。それでも親が我流の考えで伝えるAやBは、必ず子供の耳に入ります。本来は良かれと思ってしている言動。実はそれらが一番我が子の足を引っ張ったり、彼ら彼女らの思考に歪みを引き起こす、という事実をぜひ認識してほしいと思います。

             

             半ばボランティアで行っているコーチや指導者の方々。頭が下がる一方で、残念ですが一定数「とてもじゃないけれど自分の子供を預けたくない」人たちがいるのも事実です。

             

             そんな場合には、指導者の方針を無条件で信じる必要はもちろんありません。愛する子供をそのチームから半ば強制的にでも離脱させればいいんです。

             

             ただそれでも良し悪しや正邪の判断そのものを養うには、親自身にも身体や心の成長に関する正しいリテラシーが必要。難しいことだとは思いますが、子供を守るためにも親御さんにはぜひ子供の成長に関する知識を身につけていってほしいと思います。

             


            だからこそトレーナーといわれる人材の質の向上が必要
             お話をする機会がある親御さんからは、「どこで正しい情報や学びをするのがいいのか、それが難しいんですよね…」といったご相談を受けることがあります。

             

             日本においてもまるで町医者にかかるような感覚で、体のことやスポーツ特有のケガ、子供の発育発達について相談ができるようなトレーナーが身近にいる環境。そんな環境を作っていきたいものですよね。

             

             確実にこの分野のニーズは存在するので、トレーナーにとってもある種のビジネスチャンスでもあるはず。

             

             トレーナー業に携わる人間として、もっともっと自分自身のレベルを上げて日本のトレーナー全体の質の向上に寄与できるようにしていていきたいと思っています。

             


            それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

             


            原因特定は簡単でないのが投手の「つり癖」

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               球界を代表する投手になったといっても過言ではないソフトバンクホークスの武田投手。今季はマウンド上での「攣り」が原因でマウンドを降りるケースが出てきているようです。

               

              → 5回5失点緊急降板 ソフトB武田の気になる“つりグセ” https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170807-00000036-tospoweb-base

               

              → ホークス武田なぜ頻発? 脚つる原因究明へ https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170808-00010001-nishispo-base

               

               こういった症状、チームに所属するトレーナーやコンディショニングコーチにとっても頭の痛いところ。

               

               弘田も以前所属していたプロ野球チームにて、先発の柱になる投手が投球時の「つり癖」が出たシーズンがあり、本当に頭を悩ませた記憶があります。我々にとっても死活問題ですから…

               

              水分や塩分補給の問題であることはほとんどない
               武田投手のケースのようにピッチングの際に攣るケースは、ほとんどが軸足側のふくらはぎです(右投手なら右足)。同様の症状に悩んでいた、当時の投手も全く同じ箇所の攣りを頻発させていました。

               

               もしも今自分がその現場に居合わせたら…と考えると、当時と比べればいくつか当たりをつけていくことはできる気がします。

               

               武田投手のケースは見ているわけではないので何とも言えませんが、生活習慣や水分・塩分補給などからくる問題ではないはずです。


               こういった症状を一度でも経験した投手は、しっかりとした栄養管理をしており水分や塩分補給にも人一倍気を遣っているケースがほとんどだからです。

               

               一番考えなくてはいけないのは、彼らのピッチングの際の動作特性だと思います。

               

              コッキング期から加速期のエキセントリックな収縮が問題に
               ちょっと専門的な話になりますが、投球動作はいくつかのフェーズに分類されますよね。ワインドアップ期、アーリーコッキング期、レイトコッキング期、加速期、減速期、フォロースルー期。

               

               

               足を振り上げるワインドアップ期から、軸足でプレートを「斜め後方に踏みつけて」できるだけ勢いをつけながら前足を着地するところまで持っていくアーリーコッキング期。

               

               ここから前足を着地するレイトコッキング期から加速期へ。ここでのボールリリースの直前に攣ってしまう。弘田の経験上、このフェーズで攣ってしまう投手がほとんどなんです。

               

               軸足の下腿三頭筋群はこの局面で最も急激に引き伸ばされる「エキセントリック」形態の収縮をするんですよね。もちろんそのメカニズム自体は「つり癖」の出る以前から変わっていません。

               

               一般人の我々が想像している以上に、一流投手の軸足でのプレートへの「押し付け」の力はすごいもの。一球一球、軸足の裏側の筋肉にかかる負担は相当なものなんですよね。

               

               ただ例えば投球フォームの修正や股関節可動域の拡大による投球ステップの拡大(調子がいいときに起こりがちな変化)。

               

               外転/外旋筋力の低下などによる股関節の内転・内旋動作の代償動作の増大(蓄積疲労による変化)。

               

               上半身からのウィップ動作(ムチのようにしなる連動)が今までのように使えないことで、上半身と下半身の「割れ」が不自然となって代償動作が増大(不調なときに起こりがちな変化)。

               

               こういったことが「攣り」に影響している可能性が高いと思います。

               

               投球動作の中に今までと違う部分があり、そのストレスが軸足のふくらはぎに集中して負荷をかけている。そう当たりをつけたうえで、更に細かい仮説をいくつか立てる。

               

               スローモーションで投球動作を昨年までのものと並べて比較し、特にワインドアップ期からアーリーコッキング、レイトコッキング期までを徹底して考察する。

               

               そのプロセスの中で具体的な対策が出てくるのではないでしょうか。

               

              具体的に考えられるアクションは
               武田投手の攣りの原因がまだ明確にわかっていないのであっても、とにかくまずは股関節の可動性を高めるドリルを徹底的に行うべきだと思います。

               

               ふくらはぎに過負荷がかからないようにするためには、体幹部の安定性を高めて股関節の可動性をしっかりと確保しておくのが前提になるからです。

               

               強烈な攣りを一度経験してしまうと、特にふくらはぎのように末端にある筋肉はより攣りやすくなりますよね。患部への治療はもちろん必要ですが、極端に緩めすぎることをせずに、足関節の背屈動作のアスレティックリハビリテーションを増やす。

               

               エキセントリック収縮形態への適応が低い可能性があっても、シーズン後半戦であることを考慮し、側方へのプライオメトリクスやショートダッシュ系のアプローチは最低限とする。

               

               フィットネスの部分の調整に関しては極力ふくらはぎの負担がかからないもので3登板ほどは徹底する。

               

               交感神経優位の状態がより「攣り」を増大させる可能性があるため、試合前のルーティンで激しい音楽などで気分を高揚させるなどしていないかなどもチェック。

               

               一時的であっても、試合前にリラックスする音楽に切り替えさせてみる、呼吸法による筋弛緩法をブルペン入りの際に試してみる、投球間のベンチに戻る際足を高く上げた状態で目をつぶらせておく、タオルを顔にかけて2アウトまでは視界を遮断させてしまう。

               

               技術コーチやトレーナー陣とコミュニケーションを取り、こういった対応を一つ一つ積み重ねていくことが大切ですよね。

               

               高いレベルの速球投手特有の悩みともいえる「攣り」問題。武田投手も歯がゆいでしょうが、一つずつ対策を講じて、あのナックルカーブと速球のコンビネーションで打者を手玉に取るピッチングを見せてもらいたいと思います。

               

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              P.S. この記事を書き終えた後、日本ハムの村田投手の降板のニュースを知りました。

              日本ハム 村田 右ふくらはぎをつり4回1失点で降板

              https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170814-00000138-spnannex-base

               

               村田投手のケースの「攣り」の原因が何かわかりません。ただ往々にして普段よりも調子がいい時の方が、軸足の攣りは多いこと。そしてふくらはぎの攣りを経験した次の登板では普段よりも攣りやすい傾向にあります。

               

               村田投手にも次回の登板に向けて、慎重な調整をして備えてもらいたいです…!

               

               

               それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

               


              大好きなS&C専門家による「適切な負荷と量」の簡単な設定方法

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                 合宿も折り返しいよいよラスト2日間。スタッフにも蓄積疲労の様子がありありと見えてきました。正直ここまでのチーム全体の仕上がりとしては物足りず…。1か月後に控えたトップリーグ開幕に向けて、弘田自身は焦りを感じているところです。

                 

                 夏キャンプを締めくくるクボタスピアーズとの最後の練習試合を、いい内容で終えて手ごたえを感じてインシーズンを迎えたいと思っています。

                 

                大好きなS&Cコーチ、Dan. Johnのシンプルな教え
                 さて、今日の本題へ。弘田がとても好きなストレングス&コンディショニングの専門家の一人にダン・ジョン氏がいます。まだ直接お会いするチャンスはないのですが、ぜひ一度対面してお話を聞きたいコーチの一人。

                 

                 歴史や宗教学の修士を持ち、トレーニングに対する見地も独特というかとても哲学的。深みがありユーモアにあふれた彼の考え方に、とても惹かれるんですよね。

                 

                 そのダン・ジョン氏の最新のブログがとても面白かったのでシェアします。

                 

                それがコチラ→ 「Minimalism in the gym」 http://danjohn.net/2017/07/minimalism-in-the-gym/

                 

                 今回の記事では、とてもシンプルな強度設定の一つのアイディアを提示してくれています。

                 

                25レップスを利用した負荷とセット数の設定法
                 弘田自身は知らなかったのですが、これはThe Goldilock's methodと呼ばれているもののようです。やり方はいたってシンプル。

                 

                 自分の行いたいエクササイズを選び、25回行うだけ。これを完遂するのにどれだけの重さで、どれくらいのセット数を要するかを数えなさい、というものなんです。

                 

                 一セット目が18回、二セット目が7回。こんな感じで25回できてしまったとしたら、それは負荷が軽すぎるわけです。逆に25回を終えるまでに8セット、平均して3回強しか1セットでできないのであれば、その負荷は重すぎると考えます。

                 

                 25回を終えるのに、3〜6セットぐらいで収まる負荷が一般的には最も効果があるといわれている、とダン・ジョンは提言しています。

                 

                 さらに、これが常に6〜7セットで行っているとなると判断が非常に難しいところ。強度が高すぎるために回復に時間がかかってしまうかもしれず、オーバーワークになるかもしれません、と続けているんですよね。

                 

                 ダン曰く、7回、6回、7回、5回。通常はレップ数はこんな風に緩やかな波形で推移するのが自然なこと。数え間違いや、補助者を入れてのスポットでの回数は入れないように注意しましょう。あくまでも純粋なレップ数だけを数えること。

                 

                 これを週3回3週間続けていきます。合計のセット数を数えてモニターしておき、減って来たら随時負荷をあげていく調節を行う。
                逆に多くのセット数を要しているようならば、適宜負荷を軽くする。

                 

                 …すごいシンプルですよね?それでいて自己研鑽のためのトレーニングであれば、これで十分に漸進的過負荷がかかっていくのではないでしょうか。

                 

                 この記事の中ではセット間の休息時間には言及していませんでしたが、一般的なストレングストレーニング同様、60〜90秒という間隔で行うイメージだろうな〜、と弘田は理解しました。

                 

                 自分自身は、1種目にて25回のレップ数を行う場合は、7、6、5、4、3回というパターンで重量を徐々に上げていくか、ごく単純に5回x5セット、という形式を用いることが多いです。でもこれでは、本当にそれぞれのセットにて自分に必要な重量を適切な数で行っているか、わからないですよね?

                 

                 シンプルだけどとても納得しやすい今回のアイディア。早速数を数えて記録を取りつつ、自分でも取り組んでみたいと思います。

                 

                 

                それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

                 


                うだるような暑さに思うこと

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                   大阪に戻ってきて所属する社会人ラグビーチーム、近鉄ライナーズの練習再開初日となった昨日。湿度が常時85%越えといううだるような暑さとなりました。気温だけでなく湿度が人に与える影響って本当に大きいんだなぁ、と痛感した一日となりました。

                   

                  湿度が運動強度に与える影響
                   まるでプールの中で動いているような、まとわりつくような湿度。初日にしては高強度な練習にはなったものの、全体練習は1時間強で平均的なものでした。

                   

                   GPSデータもワークレートは高めで、なかなか強度の高い練習が行えていたものの、選手の主観的な疲労度であるRPEは7〜8が平均と相当高めになっていました。

                   

                   湿度は40〜60%ぐらいが適切といわれていますから、昨日の湿度85%が影響を与えているのは間違いないでしょう。

                   

                  暑熱馴化を考慮して
                   3月末からコンスタントに練習を重ねている選手達ですが、急激に上昇した湿度に対する適応はまだできていない状態。熱中症なども気温がそれほど高くならなくても、湿度が高い場合は発生しますよね。

                   

                   暑熱馴化(しょねつじゅんか)と言われる、徐々に身体を暑さに慣れさせていく意識はS&Cにとって大切。

                   

                   まだまだ手綱は緩められませんが、実践での練習を積める北海道合宿を前に無用なけが人は増やしたくないもの。台風の影響から夕方からは大雨も予想されている大阪。ハードな練習日にする予定の本日、厳しさの中に微調整ができるような工夫を組み込みつつ、いい練習をしたいと思います。

                   

                   このブログを見ている皆さんにとっても暑熱馴化は重要ですよね。暑いからといってじっとしすぎているのも良くありません。

                   

                   室内でのストレッチや半身浴、可能であればジムのようなところでのエアロバイクなども利用して、適度な汗をかくようにしましょう。その際のこまめな水分補給は忘れずに!

                   

                   体が適応してくればだいぶこの暑さにも慣れて、普段通りのペースで生活できるはず。ちょっときつい時期ですが、気持ちは元気に頑張っていきましょう!

                   


                  それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。


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                  プロ野球チームで一番最初に採用したのは、弘田が興味を持ち当時の千葉ロッテが最初。ずっと使えます!

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